第一相 | 脹相 | 死体が腐敗によるガスの発生で内部から膨張する。 | これらの死屍は、顔色が黒ずみ、身体が硬直して手足が花を散らしたようにあちこちを向く、膨脹した身体が風をはらんでふくらんだ革袋のようである。九つの孔からは、汚物が流れ溢れ、はなはだ穢れ醜悪である。行者は自らおもう、我が身もこれと同じであるし、未だ愛着を断ち切ることのできない愛人もまた、これと同じである。この相を見れば、心が少々定まり徐々に落ち着くのである。 | | | | |
第二相 | 壊相 | 死体の腐乱が進み皮膚が破れ壊れはじめる。 | またたく間に、この膨張した屍は、風に吹かれ日に曝されて、皮や肉が破れ壊れ、身体が坼裂して形や色が変わってしまい、識別不可能となる。これを、壊相と名づける。 | | | | |
第三相 | 血塗相 | 死体の腐敗による損壊がさらに進み、溶解した脂肪・血液・体液が体外に滲みだす。 | 坼裂したところから血が溢れ出る。あちこちに飛び散り溜り、所々を斑に染める、溢れて地面に染み込み悪臭が漂う、これを血塗相とする。 | | | | |
第四相 | 膿爛相 | 死体自体が腐敗により溶解する。 | 膿爛し流れ潰える死体を見る。肉が溶けて流れ、火をつけた蝋燭のようである。これを膿爛相と名づける。 | | | | |
第五相 | 青瘀相 | 死体が青黒くなる。 | 残りの皮やあまった肉が風や日に乾き炙られ、臭く腐敗し黒ずむのを見る。半ば青く半ば傷んで、痩せて皮がたるんでいる、これを青瘀相とする。 | | | | |
第六相 | 噉相 | 死体に虫がわき、鳥獣に食い荒らされる。 | この屍が狐、狼、鳶、鷲に噉相されるのを見る、肉片を奪い争い、引き裂いて散り散りになる、これを噉相とする。 | | | | |
第七相 | 散相 | 以上の結果、死体の部位が散乱する。 | 頭と手が異なるところにあるのを見る。五臓が散らばってもはや収斂しない。これを散相とする。 | | | | |
第八相 | 骨相 | 血肉や皮脂がなくなり骨だけになる。 | 二種の骨があるのを見る。一つは濃膏を帯び、一つは純白で清浄である。ある時は一具の骨で、またある時は散乱している。 | | | | |
第九相 | 焼相 | 骨が焼かれ灰だけになる。 | | | | | |